心と筋肉痛がしゃべりかけてくる心が動き始めた。すると不思議なことに一歩を踏み出せるようになった。 また翌朝、SNSで「20kg達成!」という投稿を探す自分がいた。あの笑顔 でピースする知らない人は誰なのだ!秘訣を知っているに違いない! いや違う。心がそっと私に語りかけた。 「分かってるだろ。秘訣とかじゃ無い。必要なのは運動だ。」 ついにジムに入会した。 受付のスタッフがまぶしい笑顔で「理想の体をつくりましょうね!」と言う。 理想ってなんだろう。とりあえず、いまは現実に潰されそうだ。 初日、トレーナーに「基礎代謝、冬眠中ですね」と言われた。 マシンの上で走りながら、私は自分の代謝を探した。 10分で息が上がり、15分で魂が抜ける。 汗は出るが、希望は出ない。 周りでは、爽やかマッチョたちが涼しい顔でバーベルを上げている。 あれは人間なのか、別の生き物なのか。 翌日、全身がバラバラ事件。 太ももが「もうやめよう」と言い、腹筋が「動くな」と命令する。 階段を一段上るたびに悲鳴。 筋肉痛がまるで話しかけてくるようだ。 「昨日の無理が、今日のお前をつくってる」と。 励ましなのか脅迫なのか、判断がつかない。 でも、ちょっと嬉しい。 この痛みは、何かが変わっている証拠だ。 体の中で眠っていた細胞たちが、ざわざわと目を覚ましている。 鏡の前に立つと、わずかに姿勢がよくなっていた。 腹筋の奥の奥で「俺もいるぞ」と主張している気がした。 筋肉痛ではない成長痛なのだ。 数字はまだ動かない。 でも、気持ちは確かに軽くなった。 「続けた先に何かがある」そう思えるだけで、前より強くなれた。 痛みと希望のセットメニュー、悪くないかもしれない。 次は、筋肉痛に勝てる日を夢見て、また靴ひもを結ぶ。 |